昼に、木嶋さん(仮名)から久し振りに電話があった。というより電話で話すのは始めてだった。木嶋さんには現場では何度か会っていたが、私は彼にあまり馴染めなかった。 木嶋さんは開口一番「あいつ、ヤバイよ」と言った。 私が小中学生時代を共に過ごした友人高野(仮名)が「とあるスポーツ」を振興するための非営利法人を立ち上げたのは今から約2年半前。その立ち上げの直前、私と木嶋さんに声がかかった。 高野が言うに、非営利法人を立ち上げるには自分の他に2名の理事が必要との事。その理事として高野は私と木嶋さんを誘った、いや、今思えば白羽の矢を立てたという方が正しい表現だろう。 高野は言った。私と木嶋さんに理事になって欲しい。そしてその為には二人からの出資が必要なのだと。 理事に就任し、出資をする。だが私と木嶋さんにはそれぞれ現在の仕事があるため会社は実質的に高野が一人で運営する事となる。つまり私達は高野にとって