印刷 高林さんの作った梅ジャム。箱や袋のデザインも高林さんが手がけた。箱詰めは妻と、長男の妻の仕事という=東京都荒川区でき上がった梅ジャムを袋詰めする高林さん。40年前に買った機械は今も現役だ=東京都荒川区 【山本亮介】駄菓子の定番、梅ジャム。東京の下町で高林博文さん(81)が1人で作り始めて、今年で65年になる。家族を支えたい一心から生まれた商品だ。口にすれば、一瞬にして子どものころの風景がよみがえる。 町工場が点在し、路面電車が横切る荒川区東尾久の一角に、高林さんの自宅兼作業場はある。今年1月に股関節を手術したが、今でも毎朝、1釜分(約80キロ)を炊く。 14歳で終戦を迎えた高林さん。疎開先の富山から荒川に戻ると、長男として家を助けるため、闇市で何でも売った。 千葉・浦安まで自転車で行って買い付けたイワシを木箱に並べていたときのこと。出店するための鑑札がなかったため、露天商に木