シンプルでセンス溢れる軽快な装丁、帯には江國香織と穂村弘の推薦文、著者は、僕らの世代だと、ハワイやサーフィンのイメージがすぐに浮かぶ、作家・翻訳家の片岡義男と、クッツェーの翻訳や『嵐が丘』の新訳で知られる鴻巣友季子。そしてタイトルの「蒟蒻問答」を思わせる遊び心ーー。 本を手に取れば、どうしても「洗練」「洒脱」といった言葉が思い浮かんでしまう。ところが、いざページを開くとまったく印象が変わる。ひんやりと澄んだ空気感のなかで、真剣を交えるような言葉のやりとりが続く、実に読みごたえのある一冊なのだ。 本書の「仕組み」は、次のようなものだ。 ・まず著名な、すでに翻訳されている著名な小説を、「課題小説」として片岡、鴻巣両氏が選び出す。 ・訳す範囲の原文だけが編集部から二人に渡される(つまり全体を通して原文を読むことはできない)。 ・締切日が提示され、その日までに双方が翻訳原稿を提出したのち、対談が行
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