川崎市と東京都練馬区の二つの事件で、クローズアップされた50代の子を80代の親が支える「8050問題」。孤立しているのは、子どもだけではなく面倒を見る親もまた同じ。それゆえ、問題が深刻化するまで顕在化しないケースも多い。家族を救う手だてはないのか。 【8050問題に通じる過去の主な事件はこちら】 * * * 練馬区の事件の家族の場合は、熊沢英昭容疑者(76)は農水事務次官というエリートで、社会的にも認められ、社交的な存在だった。そんな家族にも、長男の英一郎さん(44)のことだけは本音で相談できる相手はいなかったのではないか。 長年ひきこもりの支援に関わるNPO「遊悠楽舎」の明石紀久男さんは、練馬区の事件についてこう言う。 「なぜ、殺さねばならないのか。家庭内暴力があった時点で警察なり、外部に助けを求めるべきだったのに」 どんなに社交的な家族であっても、世間体などを理由に、ひきこもりの子