日本体育協会に所属する115団体に対してタバコ対策やアンチ・ドーピング教育実施等のアンケート調査を行った。その結果、ニコチンがドーピング防止規程の監視対象物質であることの認知度は低く周知する必要があった。また、喫煙者に対する取り組みが団体組織で大きく異なり、積極的な対策が求められた。 ニコチンは自律神経系に影響を及ぼすことは知られている。新体力テスト前後での唾液中カテコールアミン代謝物の変化と心拍センサーから得られた心拍変動の周波数解析を行なった。喫煙者群と非喫煙者群共に運動後に有意に交感神経に関わる指標が上昇した。この結果は、喫煙者の競技直前喫煙が心拍に過剰な負荷を与えることが推測された。 喫煙の健康影響は、喫煙者ばかりでなく受動喫煙による非喫煙者にもあることは事実である。喫煙率は減少傾向を示すが、スポーツ選手に少なからず喫煙者がいることがアンケート調査からわかり、健康への影響が懸念され