南太平洋の地震多発国・ソロモン諸島で、州都がある島の全住民と州都としての機能を、まるごと別の島に移す計画が進んでいる。「津波や海面上昇の危険性が高すぎる」と海外専門家の調査チームが判断し、水没を恐れる住民らも受け入れた。前代未聞の全島移転には、数十年かかるとみられている。 住民1千人、数十年かけて 首都ホニアラからプロペラ機で2時間余り。南北1キロにも満たないタロ島の飛行場は、未舗装の滑走路に雑草が茂っていた。 無数の島々からなるソロモン諸島で、タロ島は西部に位置するチョイスル州の州都だ。役所などの行政機関や病院などが集まるが、約3万人の州民の大半は2キロほど離れた、チョイスル島という大きな島に住む。タロ島で暮らすのは千人足らずで、車は2台しかない。 この小さな島が急に世界的な注目を集めたのは、2年前。州政府が「地球温暖化による水没を避けるため、島ごと対岸のチョイスル島に移す」と発表。タロ