「チャヴ」と緊縮財政 なぜ2000年代になってチャヴという人種がメディアを賑わせるようになったのだろうか。ひとつには、単に、労働者階級でさえない新たなアンダークラスがイギリスに生じているという事実があり、それをチャヴという類型が代表しているということであろう。 ただし、チャヴがアンダークラスであっても、アンダークラスがすべてチャヴであるわけではない。 では、なぜほかならぬチャヴがアンダークラスを代表したのか?その理由を考えるためには、この言葉の流行のもうひとつの側面を見なければならない。これについては、イギリスの若き社会評論家オーウェン・ジョーンズの著書『チャヴ──弱者を敵視する社会』(依田卓巳訳、海と月社、2017年)に詳しい。 ジョーンズによれば、チャヴという言葉はとりわけ2010年以降のイギリス保守党の緊縮政策(とりわけ福祉のカット)において利用された。保守党はチャヴと呼ばれる種類の
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