おじさんが持っていた「ラジオの製作」を譲ってもらったのが小学2年生の時で、ずっとその本を繰り返し読んでいた私が5年生になったときに父親が買ってくれたのが「初歩のラジオ技術」という本でした。誠文堂新光社、初版発行1966年のその本は、今手元に残っている一番古い本です。 時間があれば舐めるように読んだその本の中で、強烈に「わからない」と強い印象が残ったのがコレクタ・ベース間に流れる逆方向電流でした。ダイオードのPN接合まで図を追っかけて何とか理解した小学生も、さすがにトランジスタの中をせわしく行き来する電子やら正孔を追っかけることはできずに挫折したのでした。 逆バイアスのかかったPN接合を、なぜ電流が流れることができるのか。 その問いは中学時代の技術の先生に聞いても答えを得られず、高校時代の無線部の顧問に聞いてもやはり答えは得られませんでした。ようやく答えが得られたのは大学に入って数年後、半導