地元の大衆居酒屋にふらりと入店。 初めて訪れるお店だったが、壁にずらりと並ぶ短冊に書かれた「新さんま」「スタミナ串」の文字に心が躍った。 カウンター席に腰かけたのはいいものの、お酒のオーダーも忘れ、壁の短冊を眺めては注文を悩み、きょろきょろしてしまう。 「ごめんなさいね」 そこに降ってきた、お店のオバチャンの声。 手にはおしぼりとメニューが握られ、スッと目の前に差し出していってくれた。 こうして書き記すだけであれば、何も違和感のない接客の流れである。 しかし、私の心はざわついていた。 居心地の悪さ 言葉の裏に何かが感じられたのだ。 「(本来はお客様が着席された時にスッとメニューとおしぼりを出しながらオーダーを取るべきであるはずなのに、それができなかった私で)ごめんなさいね」 という具合である。 胸さわぎを感じながらもハイボールを注文。 ややあってから、別のおばちゃんがグラスを持ってきてくれ