/// 山本善行『古本のことしか頭になかった』(大散歩通信社、2010年) 岡崎武志『古本めぐりはやめられない』(東京書籍、1998年) このお二人は高校時代からの古本友だちのようで、山本さんの本の中にも出てきます(p54)。お二人とも年季の入った古本狂であることは共通していますが、この本を読む限りでは違ったところもあります。 山本氏の本がもっぱら純文学系の探書の話が中心なのに対して、岡崎氏の本は、探書以外に、探求過程でのいろんな手法や、エピソードが語られています。探求書は、均一小僧を名乗るだけあって幅広く話題性のあるものが中心です。 文章は、山本氏が実直な人柄を反映した文学的な文章で素朴な味わいがある一方、岡崎氏にはジャーナリスト的な着眼の良さと軽妙さが感じられます。書物や出版に関して観察眼が鋭く、現象を総体として考える社会学的な視点があるように思います。 『古本のことしか頭になかった』