憲法に従って国会議員が臨時国会の召集を求めても、内閣がないがしろにする事態が続く。国会は歯止めをかける法律を整備すべきだ。 憲法53条は、衆院か参院の総議員の4分の1以上が要求すれば、内閣は臨時国会の召集を決定しなければならないと定める。 ただし召集するまでの期限を示していないため、内閣が恣意(しい)的に応じないことが目につく。象徴的なのは2017年の安倍晋三内閣だ。 当時の野党は、森友・加計(かけ)学園問題を追及するために臨時国会の召集を要求した。安倍内閣は直ちに応じず、98日後にようやく臨時国会を召集したが、冒頭で衆院を解散したため論戦は封じられた。 これを憲法違反と主張する野党議員らが起こした訴訟で、最高裁の判決が出た。内閣は召集義務を負うとしながらも「個々の議員の権利、利益を保障したものではない」として上告を退けた。 憲法53条についての最高裁判決は初めてだが、安倍内閣の対応の是非