トヨタ自動車()は、着実に世界の自動車市場で生産と販売を拡大してきた。とりわけ、成長の主体である北米市場での事業の伸張は際立っており、利益の7割を北米市場に依存していると言われる。フォード・モーターとゼネラル・モーターズ(GM)の凋落が顕著になってきている中、北米自動車業界では雇用維持のために、トヨタの現地生産の拡大に大きな期待を寄せていることも事実だ。 しかし、一方で今後の自動車産業の成長を担うであろうBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)においては、苦戦を強いられている。特に、インドやブラジルでは韓国メーカーや欧州メーカーの後塵を拝している状況だ。「ヴィッツ」や「カローラ」などは現地ではまだまだ高嶺の花。両国での自動車需要の中心は80万円以下の低価格小型乗用車。インドではスズキ()の「アルト」やヒュンダイの「サントロ」、ブラジルではフィアットの「コルサ」などに勝てるクルマを持って