さりげなくドイツ国旗をペインティングしたDBの職員。代表への思いを秘めて職務に励む【 photo by 宇都宮徹壱 】 ベルリンから飛行機で、開幕戦以来となるミュンヘンに戻ってきた。 グループリーグを首位で通過したドイツは、ここでスウェーデンとベスト8進出を懸けたゲームに臨む。あれほどイングランドを恐れさせたスウェーデンが相手とあって、ドイツの人々は祝祭ムードに身を委ねながらも、どこか緊張した面持ちを隠せずにいた。興味深かったのが、Sバーンの乗客整理に汗を流すDB(ドイツ鉄道)の職員も、メディアセンターでかいがいしく働くボランティアスタッフも、ほおに小さくドイツ国旗の黒・赤・黄をペインティングしていたことである。一般のファンとは異なり、職務上おおっぴらに声援を送ることができない人々の思いが、その小さな国旗から感じられる。 選手同様、われわれ取材者にとっても、この日から始まる決勝トーナメ