週末から読み始めたのが、稲垣涼介の「ワイルド・ソウル」。小説としてもとても楽しめるのだが、登場人物の一人の語る言葉に妙にうなずいてしまったので、ここで引用。 「世の中には、二種類の人間しかいない。分かっていない人間と、分かっている人間―目に見えている世界の表層だけをなぞる人間と、その表層の集合体から本質を見極めようとする人間だ。」 … 「表層だけをなぞる人間でも、世間並みの成功は収めることができる。事象のみを捉え、その対処法を経験値として蓄積してゆく。そして、その経験値を元に未来に対処してゆく。少し聡い人間なら誰でもやっていることだ。だが、あくまでも意識にはその表層レベルにいる。いわば処世術にすぎない。それでは本当に分かっているとはいえない。住む世界や国が変わり、就く仕事が変われば、それまでの話だ。以前の対処法は通用しない。が、その表層の集合体から物事の理(ことわり)を導こうとするものは、