ご存知の方もおられるでしょうが、著者の永沢さんは「名手」と評されたインタビュアーでした。それも、かなり稀有な。 平均して雑誌のインタビューの仕事は、1~2時間が基本。腰の据わったもので、3時間。それ以上だと、取材する側も話す側もヘトヘトになります。ところが永沢さんはというと、3~4時間は短い方で、5~6時間が基本で、それ以上のロングランとなることもめずらしくはなかった。 こんな話が一杯あったそうです。大物ロックシンガーと温泉に浸かって、さらに話を聞いただの。イケメン俳優が「あの、まだまだかかりそう。…うん。あと1時間…いや、いやもっとかな…だから、先に食べておいて。ごめんね」と、パスタを茹でている新妻に、声を落として電話を入れていただとか。 しかも取材中、永沢さんは、焼酎の水割りなんかを、ぐびくび飲んでいるのです。たとえ、それがどんな相手であろうとも。アルコールの助けを借りずに、人に会うこ