ライブドアが自社のウェブサイトで各界への意見をつのった企画に、書き下ろしの原稿を加えた本が出た。私も執筆した(本の原稿はウェブとは別の書き下ろし)のでいいにくいが、買って読むほどの価値はない。項目を立てたアンケート形式になっているので話が深まらず、読み物としては退屈だ。 流し読みしてみると、ライブドアを「虚業」とか「カルト」などとする意見が多い。たしかに、そのビジネスに実体がなかったのは事実だが、資本主義の本質は「鞘取り」である。地理的な鞘取りが商人資本主義であり、技術的な鞘取りが産業資本主義だとすれば、資本効率の鞘を取って稼ぐのが「新しい金融資本主義」である。成熟産業でキャッシュフローが浪費されているとき、それを買収して解体・再生することによって資本効率は向上し、経済全体の成長率も高まるのだ。 7日の記事でも書いたように、日本の産業構造を「情報資本主義」に適したものに変えるには、こう