最近読んだ本『インポッシブル・シンキング』に、興味深い指摘がありました。それはこんな内容です: ニュートン物理学は、突き詰めていけば限界はあるが、単純に物事を説明するだけなら、複雑な量子力学を持ち出さなくてもいい。車で猛スピードで壁に激突するとどうなるか、屋根から球が落ちたらどうなるかを手っ取り早く知るには、ニュートンの理論の方が役に立ち、効率的なことが多い。 (『インポッシブル・シンキング』pp.213-214) 新しい理論が登場した時、古い理論は駆逐されると思われがちです。「地球は平らだ」という考え方が「地球は丸い」という考え方に置き換わった例など、それが当てはまる場合もあるでしょう。しかし実際には、2つの理論が並存できる場合があります。それはどちらが正しいか、という問題ではなく、どちらをいつ使うのが有益であるか、という観点で見なければならないのです。実際、近所に買い物に行く程度なら「