リアルな秘境は、もはや失われている 秘境の定義を「訪れる価値が十分あるにもかかわらず、険しいなどの条件のために、たどり着くことが容易ではない場所」とするならば、現代においてリアルな秘境は失われたと考えるのが自然だろう。 上信越の奥地「秋山郷」などのように、かつて日本の秘境と喩えられた場所であってもいまや立派なウェブサイトが立ち上がっているのを見ていると、「秘境」という言葉が皮肉にも人を寄せ集めるための飾り文句に意味合いを変えてしまっていることを意識せざるを得ない。 秘境は、死語になったのだろうか それでは現代において「秘境」は死語になったのだろうかと嘆いてみたくもなるが、立ち止まって足元を見ていると、現代の秘境はもしかして現実でなくバーチャルなウェブの空間に見出せるのではないかという気がしてきた。 『アンビエント・ファインダビリティ ―ウェブ、検索、そしてコミュニケーションをめぐる旅』をぱ