2006年11月17日17:15 カテゴリ書評/画評/品評 書評 - 非対称の起源 宇宙から利き手まで、世の中は「ちょっとだけ非対称」だ。 非対称の起源 C. McManus / 大貫昌子 [原著: Right Hand, Left Hand] 本書「非対称の起源」は、そんな対称性の中の非対称を、左右だけではなく、なるべく多くの方向から考察した一冊である。 対称性の破れに関して考察した本は、実は少なくない。ブルーバックスだけでも右利き・左利きの科学やはたして神は左利きか?があるし、非対称研究の第一人者である黒田玲子の生命世界の非対称性も大変な傑作だ。 しかしこれらは専門を絞った上でのそれぞれの領域における非対称性を考察したものであり、本書ほど包括的かつ徹底的に非対称性そのものを考察した本は今までなかったかもしれない。総花的になりがちなこのアプローチが破綻していない理由は、著者の恐るべき教養