昭和天皇の死因は膵臓ガンだった。 彼が最初に倒れたのは昭和62年9月。ガンの進行による腸閉塞を起こしたのだ。東大病院の関係者は一様に驚いたという。「こんなに末期的な症状になるもっと前になぜガンだと分からなかったのか」。天皇家に敷かれている医療体制はこの国で最高水準のものだと、考えていたからだ(これは当時も、今も誰しもが思うことだ)。が、その内実はお寒いもので、彼はその時までまともな検査をほとんどしたことがなかったそうだ。天皇の身体に触れることが「畏れ多いこと」、「不敬である」とさえ考えられていたからだ。 さらに彼は、ものが通るように腸のバイパス手術を行っただけで、まともなガン治療を受けられなかったという。抗癌剤治療や放射線治療を行うには当然、病名の告知が必要だが、「告知はできない」という理由でそれら一切が見送られたのだ。当時のマスメディアでも「慢性膵炎」と報じられた。 彼は1年後(昭和63