文藝春秋 2011年11月 これは橋本治氏の「橋本治という立ち止まり方」で紹介されていた本で、同じく橋本氏の本で紹介されていた安富歩氏の「原発危機と「東大話法」」と同時に購入した。しかしこの2冊は随分と印象の異なる本で、本書は大変楽しく読めたのだが、安富氏の本は読んでいて何だかいらいらしてきた。それは書かれている内容のためではなくて、語り口の問題だと思う。この与那覇氏の本は上機嫌である。笑いがあるし、清澄な空気がある。一方、安富氏の本は不機嫌で笑いがない。この未曾有の原発危機に際して明るくなんかなれるかということなのかもしれないが、何か予言者めいた悲憤慷慨調というか、わたくしのもっとも苦手とするタイプの真面目さが満ち満ちていて辟易した。安富氏の本についてはいろいろと言いたいこともあるが、今書くと悪口ばかりになりそうなので、一呼吸おいたほうがいいように思う。それで、まず与那覇氏の本のほうから