大津波にあって海岸沿いは全滅し、原発からは10数キロ~40キロ圏内にある南相馬市。一部は強制避難させられ、一部は屋内退避(震災当初)。また、一部は30キロ圏内で放射能は怖いが、生活は自由。『がんばらない』著者で諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏が、この町の現在を報告する。 * * * 6月10日、僕は、南相馬に講演に行った。町では、地元の企業である「落合工機」に中東のオマーンから、約26億円の浄水器の大量発注があったという元気なニュースで沸いていた。その会社の斉藤秀美社長に話を聞いた。 オマーンとの取引は、昨年の12月からだったという。「オマーンの王族系企業からの依頼だったのですが、最初は雲をつかむような話で、詐欺にひっかかってはいけない――と疑っていたのです」と斉藤社長は笑う。 実は、その話をまとめたのは、中東の農業支援をしているNGOが母体の企業、J-action。ここと事業組合を設立し、