静岡県は近年、若者の地元離れに悩まされていた。同県では高校生の7割以上が県外に進学。その多くが進学先エリアで就職し、地元に戻ってこないという。この状況をなんとかしなければ――。そこで立ち上がったのが、地元有力紙の静岡新聞社だ。 静岡新聞社は地域のマスメディアとして、地元企業の採用活動を長年サポートしている。大手就職活動サイトが台頭する前から、20年以上にわたって就職活動支援サイト「新卒のかんづめ」を運営。地元企業の採用情報を網羅的に掲載したサイトは珍しく、Uターン就職を希望する学生にとって、なくてはならない存在となっている。 しかし、地元企業から見た状況はここ数年で一変している。同社の西川美奈江さんは「かつてはサイトに情報を掲載し、合同説明会をすれば、学生はエントリーしてくれていた」と話す。今では地元企業への応募が激減し、中にはエントリー数が1桁の企業もあるという。 この状況を打破すべく静