彼は言う。「景気がいいから」だと。それこそ1970年代からレコードジャケットやポスターなど、多くの商業デザインを手掛けてきた彼の経験則によれば、景気が悪くなれば「洋風」な注文が増え、景気が良くなると「和風」な依頼が多くなるのだという。要するに、景気が悪いときは自信を喪失して「自分はダメだ」と自虐的になり、海外にすがるような視線を浴びせることになる。ところが景気がよくなって自信を回復すると、「成功しちゃったかも感」「オレってスゴいかも感」が高揚し、和風、つまりは日本的なものが好まれる傾向になるということだろう。 確かに不況期には、「そんなに日本がダメとも思えないんだけど、自信をなくし過ぎなんじゃないか」と海外の評論家などからも言われるほど、日本人は意気消沈してしまった。景気が回復し、自信を回復するのも悪くはないだろう。ただ、心配がないでもない。自信過剰になってしまうことである。いつもながら大
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