──実際に「KENZOPOWER」のデザインをされてみていかがでしたか? 「TOKYO BY KENZO」の時とおなじように、まずパトリックが抽象的なイメージを最初に語りました。「男が荒涼とした街を歩いている。地下へと繋がる階段を下りていく。すると地下室には禅のガーデンがあり、そこに花が一輪咲いている……」という、ちょっと気恥ずかしくなるようなベタな物語を語りだしました。そういうことを真面目に語るフランス人がいるわけですよ(笑)。 しかし絵コンテをみせてもらうと、これは日本人には表現できないものなんですね。それが本当に美しい男優で演じられると納得させられる。 香りは当初は3種類候補がありましたが決まっていませんでした。だから発端は香りではなく、パトリックのイメージでした。そしてそれは物理的な容器をつくっているのではなく、香りの“依り代”をデザインするようなものだったと思います。