古今東西、時代を問わず「学歴」は人の心をざわつかせる物差しだ。「学歴で人の価値は測れない」と多くの人が言うが、現実には有名大学に合格すること、あるいは子どもを有名大学に合格することが、社会において小さくない価値になっているからこそ、人は学歴を巡る価値観に揺れる。 中国は日本とは比べ物にならないほど学歴社会だ。著名企業は採用において公然と学歴フィルタリングで差別し、欧米や日本の有名大学・大学院は“箔”を求める中国人の受け皿にもなっている。 中国最大のIT企業、アリババの創業者であるジャック・マー(馬雲)氏が経営者の枠を超えて若者に支持されてきたのは、雑草そのものと言える生い立ち——彼は裕福でない家庭に育ち、二浪して無名の教育大学に進学した——と、いくつもの「無」を乗り越えて巨大な市場と企業をつくりあげてきた不屈の精神力、そして深い洞察を言語化し発信する能力ゆえだろう。 マー氏は2018年5月