子どものころのささやかな希望だが、毎日アイスが食べたかった。 「お腹をこわすぞ」と親に叱られながら、どうやって小遣いを工面してアイスを食べるかを考えていた。どうしても買えない日は友達がカップアイスを買ったとたん「フタ、ちょうだい」といって強奪し、裏側に薄っすらと産毛のようについたアイスをベロベロと舐めた。 悪知恵も働かした。友人の編み出したワザはスゴイ。まず店頭のショーケースの中に、上半身を入れる。「どれにしようかな」と商品を選んでいるフリをして、歯でカップのフタを開け、冷蔵庫内で舌ですくって食べるのだ。食べ終わるまで冷蔵庫に顔を突っ込んでいるので「息がとてもくるしい」らしい。あとには空のカップが残るというワケだ。冷蔵庫の温度が低いと、舌がアイスに貼りついて取れなくなることがあるという危険なワザだ。 私の場合は名糖ホームランバーの「当たり」を作った。名糖ホームランバーは、角型のバニラア