全国の鉄道各社が相次いで打ち出している「終電の繰り上げ」。首都圏では9月上旬、JR東日本が2021年春のダイヤ改正で主に東京100km圏の終電を繰り上げると発表したのを皮切りに、私鉄各社も追随。東京メトロを含む関東の大手私鉄全社が、来春のダイヤ改正で終電の時刻を見直す。 コロナ禍による行動変容で深夜の利用客が大幅に減ったことも理由の1つだが、鉄道各社が大きな目的として掲げるのが「夜間の作業時間の確保」だ。線路をはじめとするインフラのメンテナンスは電車が走らない夜間に行わざるをえず、近年はホームドアの設置など設備の新設工事も増えている。終電時刻を繰り上げることによって作業時間を少しでも増やし、工事関係者の「働き方改革」につなげたいという狙いがある。 ただ、各社とも終電時刻が早まるのはおおむね10~30分。夜間の作業時間は短いとはいえ、10分程度の繰り上げでどれだけの効果が生まれるのだろうか。