「結局、世の中がこんな風になってしまっている窮極の理由はインターネットじゃないのかな。それまでならばつながることが絶対になかった人たちがつながってしまって、それで吸い寄せられ、平気で惨いことを寄ってたかってするようになってる。インターネットが無ければ、そもそもそんなことは起きなかったはずなのに」 世界で最も信頼しているパートナーから、こんなことを朝の起き掛けに言われた。確かに、と頷かざるを得なかった。 インターネットなるものが日常生活に入り込むまで、世界は私たちの頭の中で次々に沸き上がる思念に満ち溢れていた。あの人とつながりたい、しかしつながることが出来ない。―――そうした想いにかられた私たちは届かぬ気持ちを言葉に綴り、歌を歌い、絵を描き、踊り、そして共に泣き、笑った。待ち合わせ場所を決めていたのに出会うことがなぜか出来なかったなどというのは日常茶飯事であり、些細な偶然によってすれ違い、あ