ルールからプリンシプルへ、金融庁の姿勢は、大きく変わりました。背景にあるのは、金融界における表層的なルール遵守の徹底が、かえって、ルールが守ろうとしている社会規範そのものへの顧慮を欠落させ、原理に遡って考える習慣を失わせ、金融の社会的機能を低下させているのではないか、という危惧です。さて、金融界、形骸化したルール墨守を脱し、プリンシプルで自己を律して、社会に貢献できるように変身できるか。 金融は非常に広い。そこで、投資信託の販売という具体的な事例から始めましょう。 金融庁は、2012年2月15日付で、「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」を改正しています。そのなかで、新たに設けられた項目として、以下があります。 「投資信託は、専門知識や経験等が十分ではない一般顧客を含めて幅広い顧客層に対して勧誘・販売が行われる商品であることから、顧客の知識、経験、投資意向に応じて適切な勧誘を行うこと