ピアノの鍵盤は88。それに対して弦の数は、モデルにもよりますが、230本前後です。中音と高音は1つの鍵盤に対して3本ずつ弦を張り、低音は最低音に近づくにつれて3本、2本、1本と減らします。 さらに、低音から高音になるに従って弦の長さを短くしていきます。弦の太さも段階を追って変えていて、高音に行くほど細くします。低音は巻き線弦ですが、中音と高音は銅線を巻かない裸線を用いています。 中音や高音の弦を3本にするのは、音量を大きくするという目的もありますが、それだけではなく音の響きを豊かにする意味もあります。 同じ音程に合わせた1音3本の弦をひとつのハンマーでたたいても、そのハンマーへの接弦状態や弦の支持位置が1弦ごとに異なることから、3本の弦は全く等しい弦振動にはならず、そのことが打弦後の余韻を生じさせ豊かな響きになるのです。 3本の弦振動を故意に変えた音で比較してみましょう。 3本のうち1本は
![ピアノのしくみ:音を豊かにする弦の工夫 - 楽器解体全書 - ヤマハ株式会社](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/e35e49cf6ecb9c1b8ad77b1d60c128fd9272c215/height=288;version=1;width=512/http%3A%2F%2Fwww.yamaha.com%2Fja%2Fmusical_instrument_guide%2Fcommon%2Fimages%2Fpiano%2Fmechanism_main.jpg)