好きな映画監督の1人にウディ・アレンという稀代の天才がいて、天才が故に少し変わっている人らしい。会ったことがないからわからないが。あくまで噂で聞いた話。噂を信じちゃいけないよ、特にウブな人を話題にするときは。どうにも止まらなくなるから。 その天才が、ある俳優のエージェントオフィスに直筆のファックスを送りつけた。 「いま書いている脚本に、外見はいいが中身は腐った男がいて、きみにぴったりの役柄だと思うのだが、どうだろう。出演してもらえないか」 天才である。大好き、こういう感覚。 もし私がこういう文面でファックスなりメールを送りつけようものなら、先方は間違いなく真に受けて、それを単なる嫌がらせか“毒”と思い込む。日頃の行いのせいか。あるいは、コラムでの陰険な書きッぷりのせいか。おそらくは両方正解。 だから、見た目はよくても人間的にサイテーの野郎のことを書こうとしたらきみを思い出した、きみのサイテ