8月30日に総選挙が行われることが決まったが、この選挙の争点はなんだろう。自民党は「政権選択」、民主党は「政権交代」をアピールする。それはそれで国民的な関心事であろう。だが主権者が、政治家たちの権力闘争を観戦する「客」であり続ける限り、「観客民主主義」の域を出ない。選挙を自己統治への参加手段のひとつだとすれば、そこに「観客」など存在する余地はないはずだ。しかし、有権者にどこまでの政治的実践を期待できるだろうか。そして、「公衆」をどのように考えればよいだろうか。 W.リップマンは『幻の公衆』(原題:Phantom Public)で、「公衆」への悲観論を展開している。 公衆は関心が未熟で断続的であり、はなはだしい違いのみを見分け、目覚めるのに遅く注意をそらすのが速い、団結することで行為するため、考慮に値すること は何でも個人的に解釈し、出来事が対立しメロドラマ仕立てになったときにのみ関心を抱く