何歳までなら手術したほうがいいのか、何歳以上はやめたほうがいいのか――。高齢者の手術はそれ自体がリスク。人生の晩年で寝たきりにならないために、手術のボーダーラインを知っておきたい。 58%が「無治療」を選ぶがん 田中真由子さん(52歳・仮名)の父に「がん」が見つかったのは、78歳のときだった。大腸がん(直腸)で、進行度はステージⅡ~Ⅲ。医者からは手術を勧められたという。 真由子さんが語る。 「無事手術も終わり、母とも『よかったね』と手を握り合いました。ところが2~3日後に父の容体が急変し、再手術となったのです。最初の手術の傷口がうまく閉じず、便が漏れてしまい細菌に感染したようで高熱が続いていました。 病室の父は動くことも話すこともできず、目も閉じたままでした。体重も落ちて頬もこけ、再手術から2週間後に呆気なく亡くなりました」 80歳近い年齢で、本当に手術をしてよかったのか、手術をしなければ