動物園や水族館の人気者が苦境に立たされている。 初来日から先月で30年を迎えたコアラの国内の飼育頭数は東山動植物園(名古屋市千種区)などの44頭で、最多だった1997年の96頭の半数以下、94年に122頭いたラッコも16頭に激減している。希少種の輸入制限などが原因で、関係機関は年内にも各園の飼育情報を共有化し、繁殖に役立てる方針だ。 「ぜひ繁殖につなげたい」。30年の記念に豪州の姉妹動物園から東山動植物園に贈られ、先月に公開されたコアラ「ティリー」(雌、4歳)を見ながら黒辺雅実副園長は語った。同園のコアラはこれで雄雌各3頭の計6頭になったが、最多だった13頭の半数。ティリーは発情の兆候があるといい、関係者の期待が集まる。 コアラの飼育が国内で始まったのは84年。施設の増加などで97年に最多を記録して以降は減少に転じた。日本動物園水族館協会(東京)の種の保存事業で中心となる黒辺副園長は、「豪
