心霊スポットに行ったきり2度と戻らなかった――。怪談話のテンプレートとも言える話の流れ。それを地で行く事件があった。 若い女性が2人、有名な廃墟へ肝試しへ行き、消えた。車ごと忽然と、跡形もなく。 恐怖の都市伝説となった失踪事件。まとわりついた誇張やデマ、その誤ったヴェールの向こうに何が隠れているのか。 好奇心は猫をころすか 1996年5月5日21時頃。 富山県氷見市に住んでいた19歳の少女二人が家族に「肝試しに行く」と告げ、車で出かけたきり消息を絶った。 彼女たちが向かったのは魚津市にある温泉旅館廃墟ホテル坪野跡、通称『坪野鉱泉』だった。 深夜になって、彼女たちから友人に向けて発信された「いま魚津市にいる」というポケベルのメッセージが彼女たちが発した最後の足取りとなった。 目撃証言も残っている。 同日5月5日22時頃、2人の乗った車が国道8号線(富山市と滑川市の市境あたり)を魚津方面へ向か