今年度は「愛づる」をテーマに、美学・哲学、細胞生物学、日本絵画史の先生方とお話してきました。生きものをよく見つめて深く考えるということに注目し、DNAやタンパク質という細かいことではなく、生命そのものを見つめよう。では、一体生命って何だろうという、それを最後に金子さんとお話したいと思います。 実は私、金子さんのエッセイ『カオスの紡ぐ夢の中で』(小学館文庫)の愛読者です。複雑系の研究は物語を語ることになるのかもしれないということで、文学としての科学、科学としての文学という視点を出していらっしゃるのが、生命誌研究館の考え方と重なると思っています。今回著された『生命とは何か』(註1)、こちらは本格的で愛読となるかどうか(笑)。でも、今私が関心を持っている大事なことをおっしゃっているので、是非お話を伺いたいのです。 この本の少し前に茂木健一郎さん(註2)が『意識とは何か』(註3)をお出しになり、個