住宅火災の主な原因の「たばこ」。その被害を減らそうと、総務省消防庁は放置すると自然に火が消える「低延焼性たばこ」の導入をたばこ業界に求める検討を始めた。燃焼速度を遅くする物質を組み込んだたばこで、北米を中心に普及が進む。だが、値上げで打撃を受けたばかりのたばこ業界からは「たばこ離れが加速しかねない」との悲鳴が上がっている。 消防庁のまとめによると、2009年の住宅火災の死者1023人のうち約2割にあたる193人は、たばこが発火元とされる。損害額とともに毎年のように1位だ。喫煙者数は減少しているのに、たばこ火災の被害はなかなか減らない。 全国消防長会は6月、たばこ火災への対策を進めるよう消防庁長官に要望書を提出。消防庁は12月2日、協議会で話し合いを始めた。消防長会からの要望の一つが「低延焼性たばこの普及促進に向けた検討」だ。酸素の供給を抑える部分を組み込み、燃焼速度を遅くする。火をつけ