嫌なことを考えながら眼球を左右に素早く動かすと気分がよくなる EMDRは1989年に、アメリカの臨床心理士フランシーン・シャピロ氏によって発表された心理療法だ。乳癌の再発を恐れてさまざまな心理療法や針治療を勉強中だった彼女は、ある日の散歩中、嫌なことを考えながら眼球を左右に素早く動かすと気分が楽になることに気付いた。この発見をもとにベトナム帰還兵、レイプ被害者、虐待のサバイバー22名の半数にEMD(※1990年よりEMDRの名称)をしたところ、1セッションで被験者全員の苦痛がゼロ近くに低下するという結果を得た。これを発表した彼女の論文は、世界中に大きな驚きと反響を与えることとなった。 その後EMDRは数多の批判をかいくぐり、1998年にアメリカ心理学会、2000年に国際トラウマティックストレス学会、2013年にWHOが効果的なトラウマ治療と認定するに至る。現在では世界各国のPTSDの治療ガ
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