「井上さん、保険証を出していただけますか?」 「えっ?さっき僕は出したんだよ!」 酷暑の朝、東京・世田谷区内にある病院の待合室で本誌記者が目撃したのは、杖を突きながら歩く80代と思しき男性、井上夏雄さん(仮名)の激怒である。 【マンガ】港区での「憧れのタワマン生活」が一転…!残酷すぎる「格差の現実」 病院内では多くの人が静かに座っており、その中で怒声が響き渡った。怒りは収まる気配がなく、「僕はね、保険証は出したんだよ!」と何度も言い、受付の看護師は再度出していただく必要があると繰り返す。 近くにいた息子らしき中年男性が駆け寄り、持っていた保険証を慌てて出した後、井上さんは憤懣やるかたない面持ちで記者の隣に座った。 そして、「保険証は出したんだけどね!」と記者に話しかけてきたので、自分には落ち度がないと主張しているように思える。それを見た中年男性は申し訳なさそうに会釈した――。 いま、東京・