2020年3月8日のブックマーク (1件)

  • 【東京大空襲75年】(上)「水をください」すがる女性から逃げた 今も頭離れず…東京の甚野年子さん(1/3ページ)

    東京都墨田区の竪川(たてかわ)にかかる牡丹橋の上で、甚野年子さん(88)=同区向島=は黙って手を合わせた。 竪川は暗渠(あんきょ)になり、川べりとの区別はつかない。親柱だけが、かろうじて橋や川の存在をうかがわせる。真上に首都高速道路の高架があり、昼間でも薄暗い。 あの頃は明るく、川はよく見えた。川面には油が浮き、黒く焦げたマネキンのような死体が一面、埋め尽くしていた。75年前の3月10日未明、米国は付近一帯を無差別に爆撃した。東京大空襲だ。 女学校の2年生だった甚野さんも、火の中を必死で逃げた。翌朝、まだくすぶっている焼け野原の中、幼い弟を背負い、どこへ行くともなくさまよった。 ちょうど、牡丹橋に差し掛かったときだった。 焼け焦げた着物をまとった若い女性が「水をください」とはってきた。足をつかまれそうになり、思わずよけてしまった。女性の髪は乱れ切り、怖かった。 街は死体であふれていた。悲惨

    【東京大空襲75年】(上)「水をください」すがる女性から逃げた 今も頭離れず…東京の甚野年子さん(1/3ページ)