本稿は、2013年12月に文庫化された『ケプラー予想』の訳者あとがきです。2005年4月に刊行された単行本『ケプラー予想』の訳者あとがきはこちらから。(※編集部) 本書『ケプラー予想 四百年の難問が解けるまで』の単行本のための翻訳に取り組んでいたときのこと、私はおもちゃ屋さんでビー玉を大人買いした。適当に見つくろった容器の中にビー玉を配置してみたり、おおざっぱに充填密度を計算してみたりするためだ。また、読者のみなさんの理解の助けになればと、原書にはない球の配置図を加えさせていただいたりもした。自分でビー玉をいじってみたことは、訳文を作る上でいろいろと役に立ったと思う。 しかし、恥ずかしながら告白すると、ビー玉をいくらいじってみても、ケプラー予想が正しいと実感することはできなかった。その理由はおそらく、ビー玉はただひたすらコロコロと転がるばかりで、何か安定的な構造を作るような気がしなかったか
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