ヤマト運輸が、宅配便の配送網を使ってダイレクトメールやカタログなどを運ぶサービス「クロネコメール便」を3月末で廃止する。手紙などの「信書」をメール便で送った顧客が郵便法違反に問われるケースが相次いだからだ。人気サービスからの撤退という決断の背景には、ヤマトと監督官庁である総務省との「30年戦争」があった。(田端素央) 「信書の定義や範囲が曖昧で、お客さまが容疑者になるリスクを放置できない…」 1月22日の記者会見で、山内雅喜社長は言葉を選びながらこう語った。 ヤマトはメール便を平成9年に法人向け、16年に個人向けで開始した。A4サイズの荷物を郵便受けに投函(とうかん)するサービスで、厚さ1センチまでなら82円と同社の宅急便よりも割安。主に法人がダイレクトメールなどを発送する際に使われ、最近はネットオークションや通販の商品発送でも使われる。25年度のヤマトの取扱高は20億8千万冊、売上高は1