ミロとパン スムーズに、何のトラブルも、何の面白みもなく、マレーシアからタイへの国境を越えた。ペナンから乗っていたバンは、国境から少し北の、大きなバスターミナルでぼくをおろした。バンの運転手がプーケット行きの高速バスのチケットを買ってくれた。ぼくは早速SIMカードを買い、ミロ(子どものころによく飲んだコーヒー牛乳みたいなやつ)とパンで昼食を済ませた。両替は国境で済ませていた。滑り出しは快調だった。 見覚えのある顔 タイに入り、ムスリムの姿を見かけなくなった。タイの道路、バスターミナル、町並みは、どことなくカラッと、光に満ちていた。女性がスクーターを運転し、子どもが女性の背中を掴んでいた。 プーケット行きの大きな高速バスでは、見覚えのある顔を発見した。ブロンドヘアーをお団子のようにまとめつつ、少し後れ毛がある。服装のいで立ちは正統派バックパッカーだが、それとは対象的な静謐な雰囲気のあるその西