「ベジタリアン」「ジロリアン」など単純に食文化をマッピングしていくだけではなく、著者は青山ファーマーズマーケットや有機農業を実践する八郷の農場などを取材し、フード左翼を新しい左派運動のひとつとして捉え直していく。一般市民の生活レベルから立ち上がるような、極めてポピュラーな政治思想史の誕生。 朝日新書 760円+税 メガマックやメガ牛丼などの「メガフード」ブームが起こったかと思えば、自然志向・健康志向の「スローフード」「マクロビオティック」が流行する――。 このような、日本人の食の多様さに目をつけたのが、人気ライター速水健朗さんの新刊『フード左翼とフード右翼』だ。本書では《食べるものの選択でその人の政治思想がわかる》という驚きの仮説を提示している。 「簡潔に言えば、フード左翼とは、現在の食の流通システムを否定し、地産地消で安心安全な食を希求する人たちのことです。一方で、大量生産大量消費の論理