【ソウル=加藤達也】北朝鮮は9日、開城工業団地に労働者を出勤させず、自ら操業を停止させた。「貴重な収入源である団地を北朝鮮が閉鎖することはないだろう」とみてきた韓国側には、「最後の一線」も踏み越えた北朝鮮に困惑が広がる。閉鎖による進出企業の損害や政府補填(ほてん)などで韓国側は莫大(ばくだい)な負担を迫られることになり、政治問題化しかねない事態だ。 韓国メディアは団地閉鎖による韓国側の経済損失は年間推定で約1兆ウォン(約866億円)と伝えている。 朝鮮日報によると、進出企業123社の生産額は月約4千万ドル(約40億円)。投資総額は約5568億ウォン(約482億円)に上る。企業は南北経済協力保険に加入でき、各加入企業は70億ウォン(約6億円)を上限にして投資の90%まで損害の補填を受けることができるが、政府の支出となる。 開発の際、韓国側からは韓国電力など公的企業が造成や社会基盤整備に当たっ