情報を操る人材を育成する情報学教育の中にあって、いわゆる理系の学科は、伝統的な日本の工学教育の影響がきわめて強い。 工は広辞苑によると「ものを作ること」である。 その工の延長線上に「情報を作る」と当てはめてしまうと、情報は「もの」ではないので、いろいろ無理が出てくる。 特に、情報社会学では、情報化社会は工業化社会の一つのアンチテーゼですらある。 本来工学自体と工業化社会(で最も富を生み出す(主流の)生産方式=規格化による大量生産)は無縁のはずではあるが、今日の工学教育の中で、工業化という文化の影響は甚大である。 特にマスプロダクションの下敷きとなっている規格化、標準化の考え方が強すぎるきらいがある。また、規模のメリットを追求する上では、電機メーカ、自動車メーカに代表される大組織での就業が前提、というか望ましい状態となる。その点で、日本の工学部教育は、そんな大組織に就業することを前提にしすぎ