国交省の失政とは、言うまでもなく2007年に施行した改正建築基準法だ。耐震偽装事件を受けて建築基準法を改正したものの、手続きを厳しくしすぎて現場が混乱。住宅着工件数の急減を引き起こし、昨年10~12月だけでGDP(国内総生産)を0.3%引き下げるなど、6年間続いていた景気拡大に冷や水を浴びせた。耐震偽装の再発を防ぐという目的に異論はなかった。だが、その内容は現場の声を無視した形で作られ、重い副作用を起こした。同じようなことが、医療行政でも起きるのではと危惧されているのだ。 厚労省が進めているのは、医療版事故調査委員会と呼ばれる新組織の設立構想。鉄道・航空事故が起きた時に原因究明や再発防止のために出動する事故調査委員会のような機能を、医療事故にも備えようというものだ。医療を巡る訴訟が急増する中で、患者や遺族から、そうした組織の設置を求める声が高まっていた。 ミスの説明をしない病院 「患者や遺