論文が報告書と決定的に異なるのは序論(Introduction)である。研究の結果は客観的なものであるが、それをどのような「切り口」でまとめるのかという点に、著者のオリジナリティーが現れる。報告書では、切り口があいまいでも、結果が正しく報告されていればよい。しかしながら論文では、著者のその研究に対する切り口が明確に示されなければならない。これが独創性である。論文のなかで結果に対する「切り口」という独創性が明確に現れるのが、Introduction と Discussion である。この点で、Introduction は論文のなかで最も重要な部分である。これまで気象集誌の編集委員をしていて、内容が同じでも Introduction の書き方次第で、リジェクトの論文が採択される論文に変わるのをいくつもみてきた。それほど Introduction は重要である。 「序論」では主題を述べ、過去の研