なぜ日本人はこれほどまでにバッドセンスを愛するのか? こうした問題意識から日本人の嗜好の精神分析を行い、そこに「ヤンキー」性を指摘した拙著『世界が土曜の夜の夢なら ヤンキーと精神分析』(以下セカド)。本書は各方面から反響があり、光栄にも第11回角川財団学芸賞を受賞することになった。 そしてこの3月にセカドの議論を発展させた『ヤンキー化する日本』という対談集を上梓した。各界の著名人との討論との通じ、どれだけ日本人の無意識にヤンキー性が潜んでいるかを、改めて確認することができた。本書の第一章では、セカドでの議論を整理した上で新しい事象も盛り込み、ヤンキー的なるものの特徴を列挙してあるので、セカドをお読みいただいていない方にも、十分に楽しんでいただけるはずである。 誰の心にもヤンキーはいる。これが僕の基本的な考え方だ。素直にヤンキースタイルを生きる者もいれば、嫌悪とともにそれを〝否認〝する者もい